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幾つかの詩   (その1) [評論 等]





   幾つかの詩


 感銘を受けた詩はおびただしい数にのぼる。それらの詩はい

ずれも沈黙の深さを持っていた。詩人の世界はそれぞれに個性

的であり、個々の詩が具有するものも実に多様であったけれど

も、沈黙という点に於ては一致していた。言葉は消し去られ、

それをうたった詩人自身も背後に姿を消して、ただ沈黙の深さ

だけがぽっかりと口をあけていた。個々の詩の主題が持つ具体

や限定を超えて、いっさいは沈黙の中に溶解し、作品は無名に

なって自律している。それらの詩から受ける私達の感銘は、い

わばおのれ自身の沈黙をもってする一つの選択であり、そし

て、心に深く残る詩というものは、私達の選択を無限に許し、

また可能にする性質を持っている。











以下、その2へ続きます。

 「詩学」S42年 5月号




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