幾つかの詩 (その5) [評論 等]
フィナーレ
リ ル ケ
(大山定一訳)
死は偉大だ。
たのしげに口でわらってゐても、
僕らは死の一族だ。
僕らが生のただなかだと思ってゐるとき、
死は容赦なく僕らの内部で
不意にすすり泣きをはじめる。
この作品を初めて読んだ時、私は深い感銘を受けた。死が真
正面から見据えられ、しかも深い相貌をもってとらえられてい
る。「死は容赦なく僕らの内部で/不意にすすり泣きをはじめ
る」という詩句に私は驚き、その時の驚きは今も私の内に一筋
の余韻となって響きつずけている。「不意にすすり泣きをはじ
める」死の黒い立ち姿が、私の内にも、私のすぐ横にも、路を
曲ったむこうにも至る所に立っているように思われ、私は不安
にかられる。
以下、その6に続きます。
2015-06-22 21:19
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