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幾つかの詩   (その5) [評論 等]





 フィナーレ

             リ ル ケ

             (大山定一訳)


死は偉大だ。

たのしげに口でわらってゐても、

僕らは死の一族だ。

僕らが生のただなかだと思ってゐるとき、

死は容赦なく僕らの内部で

不意にすすり泣きをはじめる。



 この作品を初めて読んだ時、私は深い感銘を受けた。死が真

正面から見据えられ、しかも深い相貌をもってとらえられてい

る。「死は容赦なく僕らの内部で/不意にすすり泣きをはじめ

る」という詩句に私は驚き、その時の驚きは今も私の内に一筋

の余韻となって響きつずけている。「不意にすすり泣きをはじ

める」死の黒い立ち姿が、私の内にも、私のすぐ横にも、路を

曲ったむこうにも至る所に立っているように思われ、私は不安

にかられる。











以下、その6に続きます。






 
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