『黄金文明』『大阪文学学校詩集』 (その5) [評論 等]
『大阪文学学校詩集』(小野十三郎編・葦
書房刊)
この詩集の成立事情を知るために、小野十
三郎氏の跋を妙録する。
「大阪文学々校には、詩だけでなく、小
説、評論、エッセイ、童話などの書き手がた
くさんいます。これは、文学というものを、
鑑賞、教養の段階でとどめようとしない、ま
た学問研究の対象として扱うことだけに終始
させようとしない私たち学校の性格から云っ
て当然のことでしょう。大阪文学学校詩集
は、その多方面にわたる創造活動の中から、
詩作の分野において、開校以来この十四年間
に挙げ得た一応の成果を世に問うべく編まれ
たものです。(略)ここに多少の詮衝を経て
収録された文学学校出身者並びに在校生の作
品六十六編は……云々」
このようにして作られたこの詩集は、実に
さまざまな主題をさまざまな個性を通してう
たいあげている。学生や教師や労働者や主婦
や、ありとあらゆる職業にたずさわる人た
ち、男も女も、日本人も朝鮮の人たちも、あ
らゆる人びとが人種や年令や性別のちがいを
越えて、人間としてうたっている。そのうた
いぶりはそれぞれの個性に即しつつ実に真摯
であり、正直に自分の感情をうたっている。
いわゆる詩壇的流行にわざわいされずに、伸
び伸びとうたっているということができる。
以下、その6に続きます。
2015-07-23 21:48
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