否定的な感想 (その5) [評論 等]
松浦氏の気おいは「ベトナムの太陽」に於
て、、批評精神の脆弱さを露呈してしまってい
る。
見よ
ベトナムの無数の太陽たちは
ジャングルの奥深くにひそみ
デルタに氾らんし
メコンの大河に照り映えているではないか
今宵
貪婪な権力者たちが夢に追従笑いをもらし
あくどい為政者たちが女を抱き
われわれが偽りの平安の醜い仮装舞踏会を楽しんでいるとき
これら太陽たちは沈むことなく滑っていく
(部分)
こういう表現が続き、そして「われわれを
癌のように苛む日がくるであろう/われわれ
はいま何をしているか」という詩句でこの作
品は終っている。卒直に言って、ここにプロ
パガンダはあっても詩的批評精神の持つ強靭
さはない。批評精神らしきものがあるとして
も、それは既成の批評性に過ぎない。むしろ
私には、このような「ベトナム詩」を書くこ
とによって、ベトナム反戦の声に和し得たと
する松浦氏の自己満足と自己錯誤が透けて
見えるような気がする。「われわれはいま何
をしているか」という糺問は、非生産的な響
きしかもたらさない。糺問が必要なのではな
く、「何をしているか」の検証が必要なので
あり更に言えば、何をすればいいのかが問題
なのであろう。
以下、その6に続きます。
2016-02-02 21:33
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