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三冊の詩集   (その6) [評論 等]





 鷲谷峰雄『忘れるだけの海』(北書房刊)

 収録された二十六篇の詩には、若々しく、

清新な詩情が流れている。「私はいまでも

詩の本質は抒情だと思っている。現代詩の領

域の広汎さにと思って、自己をみつけられた

かった日々がとても苦かった。」と「あと

がき」に書かれているが、この詩集を一貫する

抒情は上質のものである。初夏のさわやかな

日ざしと、日ざしの中にふときざす不安な死

の翳りを、私はこの詩集から感じとる。「現

代詩の領域の広汎さにと惑って」と言ってい

るが、この詩集に於て鷲谷氏は、自分の詩の

「領域」をさぐり当てているし、自分の素手

でしっかりと「自己をみつけ」出していると

言うことができる。自己の領域と自分の資質

を見失なわずに育てていくならば(私はそれ

を期待する)、鷲谷氏は独自の優れた詩世界

を築き上げていくのではないかと思われる。











以下、その7へ続きます。



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