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米田和夫詩集 緒方利雄詩集   (その3) [評論 等]





 ……やがて ぼくが 地表の土に 還ったときに ぼく自身の 変身である 詩や ものたち は

 ふたたび ひそかに 語りはじめるのだ

 愛について……

 真理について……

 地球について……

 リーザ

 いま ぼくが 全身で 感じているのは

 母なる地球からの 温かい呼びかけの声

 幾億年も前の

 懐かしい子守歌

 いま ぼくの耳底に 幻聴のように ひびいてくるのは

 すでに地表の土に還った 父や母が

 遠い日 ぼくを探して呼んでいた いたわりの声

 いま ぼくの奥底を音立てて 流れてゆくのは

 少年の日 いくたびか たたずんだ 山あいの 玉のせせらぎ

 遠い銀河の流れ のように ぼくを メルヘンの世界へと運ぶ

 いま ぼくの網膜に ぼんやりと 傾むきながら 映っているのは

 北半球の一部……ぼくの生れたおとぎ話の マ半島

 ぼくの胸をえぐるのは その傍で火を噴いている ベトナムのこと



                            (部分)



 米田氏の、愛や真理や地球について或いは

ベトナムについての発言は、氏の頭の中に既

成された思想や観念から描き出されてきたも

のではない。「パラボラアンテナのように、

うつりゆくものを すべて感受」する態度、

つまりは物の本質をくもりのない魂によって

捉えようとする、本来的な詩人の態度から導

き出されてきたものである。みずみずしい感

受性と素裸の魂をよりどころとして、すべて

のものを真実の姿において捉えようとする生

き方が、彼にベトナムを考えさせ、彼の眼を

政治にむけさせたのであり、ひいてはそれら

に対する彼の対し方をユニークなものにした

のである。











以下、その4に続きます。



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