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ゆめ [町のノオト]




   ゆめ


ついねすぎてしまった

誰も起してくれなかった

病気のような色をした夢が 記憶の中へ遊びにきた

俺はその柔らかい 雨あがりの草の上で

亀と仲良く遊んでいた



ーーぼくが遅いのはあたりまえだ

亀は俺に話した

俺は無邪気にその通りだと考えた

亀にも俺にもどっちだっていいことなのだ



澄んだ風が俺の長い耳をそよがし

夕焼けは遠く美しく

海は古代の色をしていた

僕らは人間の意地悪さを話しあっていた



眼をさましてみると 誰もいなかった

あまり大きすぎる空間が しんとしていた

はずかしがっている亀のことを思うと

亀を裏切って負けたことが

なおさびしかった



俺が山のふもとまで行くと

まともに俺を見られなくなった 亀は

負けることが当然と考えていたのに

勝ってしまったことに

涙をぼろぼろ流していた






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