ゆめ [町のノオト]
ゆめ
ついねすぎてしまった
誰も起してくれなかった
病気のような色をした夢が 記憶の中へ遊びにきた
俺はその柔らかい 雨あがりの草の上で
亀と仲良く遊んでいた
ーーぼくが遅いのはあたりまえだ
亀は俺に話した
俺は無邪気にその通りだと考えた
亀にも俺にもどっちだっていいことなのだ
澄んだ風が俺の長い耳をそよがし
夕焼けは遠く美しく
海は古代の色をしていた
僕らは人間の意地悪さを話しあっていた
眼をさましてみると 誰もいなかった
あまり大きすぎる空間が しんとしていた
はずかしがっている亀のことを思うと
亀を裏切って負けたことが
なおさびしかった
俺が山のふもとまで行くと
まともに俺を見られなくなった 亀は
負けることが当然と考えていたのに
勝ってしまったことに
涙をぼろぼろ流していた
2015-02-20 23:00
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